Oct 4, 2002
講演者:小松直樹博士(工学),京都大学大学院理学研究科
題 目:フラーレンの分離精製−世界最強分離法への道のりとビジネス、特許戦略
講演概要:講演者はフラーレン混合物(抽出物)からC60,C70の分離精製において、これまでのどの手法より簡便で、かつ、安価な手法を見出し、国際出願も含め、多くの特許を取得してきた。そして最近、この技術を三菱化学、三菱商事の設立したフロンティアカーボン株式会社にライセンスした。このことは、産学連携の時代背景もあって、新聞紙上に大きく取り上げられた(8/30日経産業新聞1面トップ記事)。講演では、本分離精製法に至るまでの研究上の経緯とともに、手法が確立された後に、どのような戦略で成果を売り込んでいったか、(ビジネス戦略)についても紹介する。本研究に興味のある方はもちろんのこと、産学連携に代表される大学教官の社会貢献に興味のある方も、是非とも足を運んでいただきたい。

March 8, 2002
平成13年度高分子学会九州支部有機材料研究会
主題 = 電子、光機能材料研究の新展開

<趣旨> エネルギー、情報分野などにおいて、高度な機能を有する電子および光機能材料の開発は今後ますます重要な役割を担うことが期待されています。電子、光機能材料を研究・開発する手法としての高分子材料、有機材料と金属、無機材料との融合、あるいは配向性を精密に制御することによる高機能化など材料設計、特徴的な物性、機能などについて議論する機会を企画しました。

主 催 高分子学会九州支部
日 時 平成14年3月8日(金)13:00-17:10
会 場 講演会:熊本大学工学部物質生命化学科2階講義室
(熊本県熊本市黒髪2-39-1 ; 096-342-3654)

講演
<13:00-17:10>
1) 部分架橋液晶ネットワークの合成と高速光スイッチング素子への応用(熊本大工)栗原清二
2)(高分子ネットワーク/液晶)複合系の調光機能(九大院工)菊池裕嗣
3) 有機・無機複合薄膜の真空下作製−光デバイス作製への応用−(産総研)平賀 隆
4) 銅(I)錯体の光化学と太陽電池への応用(九大院工)榊 茂好
5) ディスコチック液晶の新しい光配向制御法と電荷移動特性(産総研)清水 洋


March 4, 2002
講演者:山田哲弘先生(千葉大学教育学部化学教室 助教授)
題 目:ペプチドと両親媒性分子のハイブリッドを用いたキャストフィルム の表面形態制御
講演概要:ペプチド基を部分構造とする両親媒性分子は,両親媒性分子の配向がペプチ ド間 のβ-シート構造形成によって固定される結果,きわめて精緻な分子配列を作り 出 す。この分子配列は溶液中の会合体中にも観察できるが,基板の平坦面をテンプレ ートにすることで一段と整ったものになる。本発表ではβ-シート構造の評価法から 話をはじめ,水溶液や有機溶媒溶液中の会合形態,さらにキャストフィルムの表面形 態について論ずる。この話題を「分子の次元固定(一次元から三次元固定)は会合形 態にどのように影響するのか」という観点からお聞きいただければ幸いである。

March 4, 2002
講演者:Wanpen Tachaboonyakiat氏(鹿児島大学工学部応用化学工学科)
題 目:Studies on Formation of Polymeric Hybrids Based-on Biopolymers:An Approach for Biomedical Applications
講演概要:生医学領域へ幅広く利用するための新規な医用材料を開発する研究であ る。バイオポリマーをベースに、2種類のポリマーを組み合わせた新規なポリ マーハイブリッドを形成することをコンセプトとした。生分解性超薄膜、ハイ ドロゲル-ハイドロキシアパタイト複合体、及び刺激応答性高分子-DNAコンプ レックス形成し、その形成メカニズムについて明らかにした。 本研究で得られたバイオポリマーハイブリッドは細胞接着性材料、Tissue Engineering Scaffold及び遺伝子キャリヤとして様々な応用が期待できる。

Feb. 6, 2002
講演者:安岡弘志博士, 日本原子力研究所先 端基礎研究センター長(前東大物性研所長)
題 目:アクチノイド化合物のNMRとNQR〜原研先端基礎研究センターでの最近の成果
要 旨:これまでNMRによるアクチノイド化合物の研究は、磁性や伝導の主役であるアクチノイド原子からの相互作用を通して、非磁性原子を対象として成されており、極めて間接的な情報をもとにして議論されてきた。典型的な例に、エキゾチック超伝導として古くから話題になっている、UBe13やUPt3が挙げられる。これ等の物質の超伝導対称性の決定が、超伝導発現機構の解明に関連して、重要となっている。BeやPt核のNMRより種々の間接的な情報が得られているものの決定的な結論には至っておらず、U核のNMRによる直接的な研究が待望されているところである。更に、アクチノイド化合物の磁性に関しては、アクチノイド原子の5f軌道にある電子のスピンの自由度と軌道の自由度が独立しており低温では後者が重要な役割を演じているという指摘が成されている。いわゆる軌道整列(Orbital Order)やそれに伴う多重極秩序 (Multipole Order)の問題である。更に、金属間化合物でみられる重い電子系の発現や特異な磁気的相互作用の解明等チャレンジングな課題を挙げるのには遑がない。これらすべては、アクチノイド原子核のNMRよる微視的な研究によって初めて解明に向かって先進するもので、原研先端基礎研究センターではそのような努力を開始した。本講演では、UO2における235U-NMRの結果をはじめ最近の成果を報告する。

Jan. 08, 2002
Adam Baszkin 博士の紹介:同氏は高分子化学および表面物理化学における理論的,実験的研究に おいて卓越した業績を挙げており,その研究対象は,高分子表面官態基の特性化,お よび固体・液体との接着,高分子表層組成と構造に及ぼす作用,自己接着と高分子ー 蛋白の相互作用等,幅広い分野にわたっている。同博士は異なった種類の単分子膜の表面圧,表面電位,表面張力等の解析,接着面 におけるぬれ測定,高分子上の蛋白及び無機イオンの接着特性の測定において,独自 の方法を開発した。特に放射性元素 ( Ca-45 , C-14 ) を独自の研究手法として用いる ことにより,固液界面における複雑な吸着特性の精密な解析に成功した。そこから見いだした知見から新概念からなる解析技術やプロセッシング技術を生み出している。 近年はこの手法をさらに展開し生体分子自己集合系を含む生体高分子系の表面におけ る現象解明と応用技術の展開に力を注いでいる。また,薬物と脂質および薬物と高分子の複合体の応用,研究に可能性を示し,注目を集めている。

Dec. 10, 2001
Title: Molecular and Biomolecular Imprinting for Chemical Sensing
Speaker: Dr. Oliver Hayden, Institute of Analytical Chemistry, University of Vienna

Short abstract: Artificial antibodies as sensor layers are an attractive technique to combine both the selectivity of biosensors and robustness of chemical sensors. Molecularly and biomolecularly imprinted polymers are capable to selectivity detect small organic molecules, complex mixtures and even whole cells. The sensor layers are favorably prepared "on-chip" directly on a transducer surface. The detection of sub-nanometre and micrometre analytes with bulk and surface imprinted polymers is presented using mass-sensitive devices and optical waveguides.