平成11年度 
熊本大学工学部 公開講座





1. 講座のテーマ名称
  表面技術と電気化学

2. 講座のねらい 
 身の回りにある大部分のものには表面に様々な処理が施されています。その中でも、電気化学反応を利用したメッキ等の手法による表面処理は、他の表面処理法と比べ、省エネルギー・低環境負荷であるため様々な材料の処理に応用されています。本講座では、電気化学の基礎と表面技術としての応用および最先端の計測法の実験について紹介します。

3. 開講期間及び時間 
 期間 : 平成11年12月4日(土)、12月11日(土)、12月18日(土)、
    12月25日(土)、平成12年1月8日(土)、予備日1月22日(土)
 時間 : 午後1時〜4時(実験の都合上4時30分までの時間延長あり)

4. 実施場所
    熊本大学工学部管理棟2階203教室

5. 受講対象者及び募集人員

対象 : 学生、一般社会人
定員 : 20名
 
 
公開講座の出席者の方々と講師(松本教授、鯉沼講師、谷口教授、西山講師,(國武講師は出張中で欠席))

6. 受講料
   6500円
 

7. 講座の概要、講師、日程
 
 

第1回 12月4日(土) 午後13:00〜16:00

題目:電気化学の基礎と表面処理
講師:松本 泰道教授
概要:本公開講座の全体を説明した後に、電気化学の基礎について講義し、実際の電気化学の実験を見学していただきます。次にメッキや陽極酸化の基礎的な表面処理と将来の表面処理技術の可能性について講義します。電気化学の基礎においては、電位の概念、電流と反応速度、基礎的な電気化学実験と応用技術との接点などについて講義します。
 
 
第1回 松本教授の講義風景 本年度完成した物質生命化学科棟についての説明を行う松本教授
1階実験室での演示実験(金属の陽極酸化) 1階実験室での演示実験-2
         
 
 

第2回 12月11日(土) 午後13:00〜16:00
題目:電池の基礎と化学修飾電極
講師:西山 勝彦講師
概要:電池の基礎及び電極の表面を種々の機能分子で修飾したいわゆる化学修飾電極について紹介します。チオールやジスルフィド基を有する有機硫黄化合物と金や銀との相互作用を利用した自己組織化単分子膜修飾電極の作成法及び応用について実験を交えながら説明します。また、フタロシアニンやアゾベンゼン系有機顔料の薄膜の作成が可能なミセル電解法およびミセル無電解法についても実例を示しながらその手法を紹介します。
 
 
ミセル電解法による有機顔料薄膜の演示実験  自己組織化単分子膜修飾電極の演示実験

 

第3回 12月18日(土) 午後13:00〜16:00
題目:原子間力顕微鏡(AFM)と電気化学
講師:鯉沼 陸央講師
概要:走査型プローブ顕微鏡の原理からその応用例について実例を示しながら説明します。具体的には、AFMを利用した電解質溶液中での電極反応のその場追跡や探針を用いた表面微細加工などについて解説し、さらに、実際の測定方法を実演で示します。また、その他の電気化学反応を同時にモニターできる測定法(QCM、IR、SXRD等)についても、その測定法を紹介します。
 
 
第3回公開講座の講義風景(鯉沼講師)  講義風景-2
AFMの演示実験-1 AFMの演示実験-2

 

第4回 12月25日(土) 午後13:00〜16:00
題目:走査型トンネル電流顕微鏡(STM)と電気化学
講師:國武 雅司講師
概要:電気化学STM(走査型トンネル顕微鏡)を用いた溶液中での原子・分子スケールでの表面の観察について解説します。STMは、導電性材料しか使えないなどの欠点もありますが、他の手法では得難い高解像度で、溶液中での原子・分子の配列や動的構造変化などを観察することが出来ます。
 
 
第4回公開講座の講義風景(武講師) STMの実験結果のポスター
金単結晶のSTMの演示実験-1 金単結晶のSTMの演示実験-2

 
 

第5回 1月8日(土) 午後13:00〜16:00
題目:バイオエレクトロケミストリーとバイオセンサー
講師:谷口 功教授
概要:私たちが生きているのは、体の中で種々の電気化学反応がそれを支えているからです。呼吸して生きるためのエネルギーを作りだし、神経や脳に情報を伝達して考えることも全てその基本には電気化学反応が関わっています。このことは、視点を変えれば、生体のメカニズムを応用することで、今日の産業技術においても新しい方法論が生まれることを意味しています。そこで、電気化学と生命化学の関わりを考えながら、その応用例として発展してきた表面に関する新しい技術やセンサーへの展開など、現在そして近い将来の新しい技術の芽のヒントを紹介し、将来を展望します。
 
 
第5回公開講座の講義風景-1
バイオセンサーについて講演する谷口教授
第5回公開講座の講義風景-2

 
 

8. 申し込み方法
(1) 申し込みに必要なもの
a. 別紙申込書
b. 受講料(現金)
* 郵便で送られる時は、必ず「現金書留」とし、申込書と返信用封筒(あなたの氏名、宛先と郵便番号を明記し、80円切手を貼付)を同封して下さい。持参される場合は、熊本大学経理部経理課収入係へお越し下さい。
 
(2) 申し込み締切
     平成11年11月30日(火)

(3) 問い合わせ及び申込先
〒860-8555 熊本市黒髪2丁目39-1
(問合せ先)熊本大学・庶務部庶務課生涯学習係(096-342-3121)
(申込先) 熊本大学・経理部経理課収入係  (096-342-3176

9. 修了証書
   本講座を修了された方に、修了証書をお渡しします。
 
 
 
修了証書授与式後の記念写真