A02-15 超臨界水酸化を要素技術とする物質・エネルギー循環システムの構築

 

課題番号 09247232 氏名 後藤 元信 所属 熊本大学

連絡先 〒860-8555 熊本市黒髪2-39-1 電話 096-342-3664 FAX 096-342-3679

INVESTIGATOR: Motonobu Goto (Kumamoto University)

2-39-1, Kurokami, Kumamoto 860-8555, Japan Tel. +81-96-342-3664 Fax. +81-96-342-3679

e-mail: mgoto@kumamoto-u.ac.jp

 

研究分担者 所属機関・職 専門分野 研究分担

後藤 元信 熊大・助教授 反応・分離工学 研究の総括、データ解析

児玉 昭雄 熊大・助手 分離工学 現状調査、実験データ採取

広瀬 勉 熊大・教授 分離工学 システムの構築・評価

 

ABSTRACT

The objectives of this research are development of materials and energy cycle system of various wastes by using supercritical water oxidation (SCWO) technology. The research consists of a flow analysis and an experimental evaluation of SCWO of wastes. For the flow analysis fundamental data were accumulated and estimation technique for supercritical water system was studied. As an experimental work, wastes such as municipal excess sludge, alcohol distillery wastewater of molasses, and shochu wastewater were destructed by SCWO by a batch or flow reactor.

 

研究目的

 超臨界水酸化は臨界点(374℃、22MPa)を超えた状態の水中での酸化反応であり、難分解性物質や廃棄物・排水のクローズド処理が可能であることから、各方面から注目されている1,2)。超臨界水酸化は有機物が原料中に数%以上含まれていれば、反応熱からエネルギーを回収することが可能となり、無機物は超臨界水に溶解しないため固体として回収できる。また、完全クローズドプロセスであり、100%完全に酸化分解するため排煙処理、2次排水処理などを必要としない特徴を有する。

 本研究では超臨界水酸化を要素技術として廃棄物のクローズド処理による物質循環と反応熱の回収によるエネルギーの有効利用を組み込んだ都市・産業におけるゼロエミッションシステムの構築を検討することを目的とする。特に、エネルギーの回収および金属などの資源の回収に重点を置いたシステムの構築を図る。

 

研究方法および成果

1) 物質・エネルギーのフロー解析

 超臨界水酸化プロセスにおいて炭素を含む有機物は完全酸化され二酸化炭素に変換され、ヘテロ原子を含む無機物は固体として回収され、各成分に分離されることにより資源としてリサイクルされ使われる。一方、反応熱は予熱に使われるほか、エネルギーとして回収される。この様な物質とエネルギーの循環システムについて解析を進める。また、現行の燃焼法等のシステムの調査と比較評価も併せて行う。

 これまでに超臨界水酸化技術を核とした廃棄物処理・資源/エネルギー回収システムのフローならびに解析のための各物性値の推算法について検討を進めてきた。

2) 超臨界水酸化による廃棄物の処理実験

 ステンレス製の回分反応器ならびに流通反応器を用いて酸化分解実験を行った。試料としては実廃棄物として下水処理場から排出される余剰汚泥、焼酎廃液、糖蜜のアルコール蒸留廃液、酢酸、アンモニアを用いた。酸素源として過酸化水素水を用いた。反応後の液相の生成物について全有機炭素量(TOC)の測定、残存するアンモニアおよび有機酸の分析を行った。

 回分反応の結果、10分程度の反応時間でほぼ完全にTOCを測定限界以下にすることができ、反応中間体として生成する酢酸とアンモニアの分解が律速であることがわかった。特に、アンモニアのN2への完全分解は600℃程度の高温を必要とした。図1はバッチ反応器の結果を汚泥、焼酎廃液、酢酸についてTOCに対して1次反応を仮定して求めた速度定数の温度依存性を示したものである。汚泥等の廃棄物中の炭素分は直接二酸化炭素を生成する反応と酢酸等の難分解性中間体を経て最終生成物に反応する反応の並発逐次反応で近似的に解析できると考えられる。

 

引用文献

 

発表論文等

キーワード

超臨界水酸化、廃棄物処理、物質循環、エネルギー循環

Supercritical Water Oxidation, Wastes Treatment, Materials Cycle, Energy Cycle