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常温NO浄化触媒の開発

常温でNOx浄化する

 既存のNOx浄化触媒はいずれも300℃以上の比較的高温を必要とする。常温で作動する触媒があれば空気浄化法として幅広い応用が可能になる。常温NOx浄化に利用可能な還元剤として最も可能性があるのは水素(H2)である。しかし、水素は酸素(O2)と反応し易いため、NOxに比べて多量のO2が存在する通常の環境ではNOxを還元できない(下図の従来触媒)。われわれは、いくら多量のO2が存在しても、NOxとH2とを結び付けてくれる高選択性触媒(下図の新触媒)を開発した。この触媒は100℃以下の低温で高い活性を示すため、常温NOx浄化にあと一歩まで迫ったといえる。

関連発表論文

H2-O2反応を起こさず、H2-NOx反応を起こす

 われわれはPtを種々の複合酸化物に担持した触媒のNOx-H2-O2反応を試験した。その結果、酸性酸化物に担持した場合に低温で、高いNOx還元活性が発現することを発見した。このような触媒ではH2-O2反応(燃焼)は室温でも起こるのだが、NOxが少しでも共存するとH2-O2反応は完全に停止してしまう。つまりH2燃焼はNOxによって阻害されることが分かった。つまり、Pt表面はNO2吸着種によって完全に覆われ、H2とO2との反応に必要な活性点がなくなる。したがって、H2は表面を覆ったNO2種と反応せざるを得なくなると考えられる(下図)。このメカニズムを利用してさらに優れた活性をより低温で達成できる触媒材料の設計を進めている。