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ヘキサアルミネート系高温燃焼触媒に関する研究

触媒燃焼とは

 1000℃をはるかに超える高温で使用可能な耐熱性微粒子材料、層状アルミネートを独自に開発し、全く新しい着想のもとに高温固体触媒の材料設計法および微粒子調製法を開拓した。層状構造からなる格子中に遷移金属を置換固溶し、その酸化還元による触媒作用の発現に成功した。また、ゾルゲル法を応用して前駆体中の構成金属成分の混合度を分子レベルまで高めることによって固相反応をきわめて速やかに進行させ、均質な耐熱性微粒子を合成した。本触媒をセラミックガスタービンなどの次世代型高温燃焼プロセスに導入し、NOx発生量の低減と高効率化を同時に達成できることを実証した。

本材料は、実用性を兼ね備えた初めての高温燃焼触媒材料として研究開発の主流になっており、国内外、特に欧米の研究者の追試が盛んに行われている。 XRD, HREM, SIMS等を駆使し、結晶化学に基づいた解析により、層状アルミネート微粒子の熱安定性および触媒作用の発現機構を明らかにした。まず、微粒子が、層状構造を反映した薄板状のモルフォロジーから構成されること、および層に沿った粒子成長の異方性を見い出した。酸素イオン自己拡散の異方性を調べ、層間が物質移動経路となる粒子成長機構を解明した。また、単結晶試料の酸化還元に伴う酸素欠陥構造の変化を追跡するという、従来にはないX線単結晶構造解析の利用法に挑戦し、層間酸素が優先的可逆サイトであることを実証した。以上の結果をもとに、層状アルミネートの機能性と結晶構造との相関を体系化した。

関連発表論文

ヘキサアルミネートの結晶化学

 ヘキサアルミネートは薄板状微結晶から構成されている。この「薄板」の底面に平行に層状構造が成長する(左図)。層と層との間隔は約1nm(十億分の1m)。このような「薄板」は「球」に比べて大きい比表面積を維持するには有効な形状である。

 なぜ、この「薄板」になるかというと層と層との隙間(写真では横縞に見える)が構成イオンの拡散経路になりやすいからである。この隙間を通ってイオンは粒子表面へと運ばれる結果、底面に沿って粒子成長する。