第2回シンポジウムの際にご協力いただきましたアンケートの結果を集計いたしました。
遺伝子・デリバリー研究会 第2回シンポジウム 報告
京都工芸繊維大学繊維学部 山岡 哲二 (シンポジウム運営委員長)
はじめに
2000年11月に発足致し、実に驚くべき勢いで会員数の増加をしてまいりました遺伝子・デリバリー研究会では、この度、京都テルサにて第2回シンポジウムを開催いたしました。慶応大学において開催されました第1回シンポジウムの盛会ぶりは、第2回シンポジウム運営委員一同にとりまして、この領域に対する産官学各界の関心の高さを確信させるには十分であり、今回新たに、ポスターセッションとランチョンパネルディスカッションを行い、さらに、若手研究者を対象としたポスター賞をもうけることで、シンポジウムの内容充実を図らせて頂きました。一般口頭演題を募り、2日にわたってシンポジウムを開催する案も熟考されましたが、できる限り多くの方に参加していただきたいとの思いから、一般演題はポスターのみに絞り、1日での開催と致しました。招待講演と致しまして、森下竜一先生(阪大院医)、吉川研一先生(京大院理)、橋田 充先生(京大院薬)、谷 憲三朗先生(九大生体防御研)、多比良和誠先生(東大院工・産総研)にお話しいただき、加えまして、西川元也先生(京大院薬)、丸山一雄先生(帝京大薬)、松田 修先生(京府医大医)、および、恵美宣彦先生(名大医)に依頼講演を頂きました。この様なことから、プログラムが非常にタイトとなりましたことを、少し反省しておりますが、盛会のうちに開催できましたのも、熱いディスカッションを展開していただきました皆様方のおかげと、感謝いたしております。
幅広い研究領域の融合が大切だと痛感いたしました。
シンポジウムに先立ち運営委員会を重ねましたところ、工学・理学・医学・薬学全ての領域の先生方にご講演いただきたいとの意向を持つに至りました。遺伝子・デリバリーの進歩にはこれらの領域の融合が必要不可欠であることは当然ですが、あまりに範囲が広く、水溶性高分子系キャリヤーに関する討論をパネルディスカッションに譲りましても、候補の先生を絞り、プログラムを設定するのに多くの時間を要しました。また、最も危惧された点は、シンポジウムの焦点がぼけてしまわないか、あるいは、講演者の先生方だけではなく、参加者の方々の間でも、話がかみ合わなくなる心配があるとの点でした。
シンポジウムを終えまして、今、この様な心配が全く無用であったことを痛感しております。何れの先生方も、他の領域に対する強い関心をお持ちであり、さらに、他領域に対する極めてクリアーカットなご意見と要求次項を整理しておられることに驚くとともに、自らの勉強不足を反省いたしました。今後、本研究会が開催いたします年一度のシンポジウムと夏期セミナーを通しまして、これら領域間の融合が、目に見える形で結実されますよう努力を重ねたいと思います。
2002年度ポスター賞決定!
第2回シンポジウムにおきまして、以下の4名の方にポスター賞が贈られました。今後のますますのご活躍をお祈り申し上げます。
位高啓史 殿 (東大院工, CREST, 東大医)
「高分子ミセル型ナノ構造デバイスによる血清存在下での遺伝子導入」
須山 英悟 殿 (東大院工, 産総研ジーン)
「がん転移関連遺伝子の網羅的探索」
川瀬 篤史 殿 (京大院薬)
「メチル化BSA複合体化によるプラスミドDNAの局所投与時の動態
および免疫応答の制御」
小原健太郎 殿 (東工大院生命理工)
「タンパク/DNA コンジュゲートによるPNA の細胞特異的核内デリバリー」
多くのご参加を頂き、有り難う御座いました。
前述の通り9件の招待・以来講演に加え、39件のポスター発表を頂きました。また、178名と、多数の方々にシンポジウムにご参加いただき、有り難う御座いました。
運営委員の先生方を始め、会場設営などでご協力いただきました、大阪市立大学、大阪府立大学、大妻女子大学、国立循環器病センター、京都工芸繊維大学の学生さん、および、スタッフの先生方にも、この場をお借りいたしまして深謝いたします。
今年度は、ポスター発表、予稿集作製、ランチョンパネルディスカッション、さらに、学外会場の利用など、多くの予算が必用となりましたが、ご援助いただきました下記の企業の方々にも、この場をお借りいたしまして御礼申し上げます。
協賛・寄付: アストラゼネカ株式会社/鐘淵化学工業株式会社/三共株式会社/田辺製薬株式会社/日本化薬株式会社/万有製薬株式会社/ファイザー製薬株式会社/藤沢薬品工業株式会社
広告掲載: 株式会社アズバイオ/三共株式会社/ナカライテスク株式会社/日本油脂株式会社/万有製薬株式会社/八洲薬品株式会社/山之内製薬株式会社
ブース出展: 日本ミリポア株式会社/株式会社メディカル ドゥ
遺伝子・デリバリー研究会 第2回シンポジウム プログラム
2002年5月17日(金) 於:京都テルサ
10:30~10:40 開会の辞
10:40~11:00 依頼講演1 [座長:川上 茂]
細胞内タンパク質欠損に対する遺伝子デリバリー(京大院薬 西川元也)
11:00~11:20 依頼講演2 [座長:長崎 健]
リポソームと遺伝子デリバリー(帝京大薬 丸山一雄)
11:20~12:00 招待講演 [座長:斯波真理子]
成人病疾患の遺伝子治療:From
Bench to Bedside(阪大院医 森下竜一)
12:00~14:20 ランチョンパネルディスカッション
ポスターセッション
14:20~14:40 依頼講演3 [座長:山岡哲二]
非ウィルス性デリバリー効率の躍進(京府医大医 松田 修)
14:40~15:20 招待講演 [座長:小山義之]
DNA折り畳み構造の多様性と活性(京大院理 吉川研一)
15:20~16:00 招待講演。 [座長:片岡一則]
体内動態制御を基盤とした細胞選択的遺伝子導入法の開発(京大院薬 橋田 充)
16:00~16:20 依頼講演4 [座長:河野健司]
VSV G バイオマテリアル(名大医 恵美宣彦)
16:20~16:40 コーヒーブレイク
16:40~17:20 招待講演「 [座長:多比良和誠]
免疫遺伝子治療の現状(九大生体防御研 谷 憲三朗)
17:20~18:00 招待講演」 [座長:佐藤智典]
アポトーシスやガン転移関連遺伝子等の迅速探索の具体例(東大院工・産総研 多比良和誠)
18:00~18:10 ポスター賞表彰
閉会の辞
ポスター発表演題
1)プラスミドDNAの肝臓表面への直接投与による肝臓内特定部位選択的遺伝子導入の可能性の検討
○川上 茂1,
平山 龍1, 河浪梨恵1, 昌子恵子1, 西田孝洋1,
栄田敏之2, 中嶋幹郎3, 佐々木均3, 中村純三1 (1長崎大薬,
2神戸大医, 3長崎大医)
2)ウシ白血病ウイルスtax発現ベクターを応用したガンの遺伝子治療
○塔 娜1, 間 陽子2, 田島 茂2,
柿谷 均3, 小沼 操4, 児玉 洋1, 渡来 仁1
(1大阪府大農学生命, 2筑波理研研究センター,
3東ソーM, 4北大獣医)
3)高分子ミセル型ナノ構造デバイスによる血清存在下での遺伝子導入
○位高啓史, 原田敦史, 中村耕三, 川口 浩, 片岡一則 (東大院工, CREST,
東大医)
4)限外濾過膜で RNase除去を行った超純水と RNAの安定性
○黒木祥文, 金沢旬宣, 石井直恵, 加納一郎 (日本ミリポアM)
5)マンノース修飾キトサンを用いた遺伝子の細胞内導入
○橋本麻由1, 森本 稔2, 斎本博之2,
重政好弘2, 佐藤智典1(1慶應大理工, 2鳥取大工)
6)血清存在下でのポリフェクションにおけるコール酸の添加効果
○伊藤智子1, 小山義之1, 木村剛2,
山岡哲二2(1大妻女子大家政, 2京工繊大繊維)
7)糖側鎖ポリアニオンでコートしたプラスミド複合体による遺伝子ターゲティングの可能性
○山田悦子1, 小山義之1, 水谷 有里2,
山岡哲二2, 橋本麻由3, 佐藤智典3
(1大妻女子大家政, 2京工繊大繊維、3慶應大理工)
8)DNA-ペプチドコンジュゲートによる細胞内デリバリー制御
○久保貴紀1, 上木亮二1,矢野真由佳1,大庭英樹3,藤井政幸1,2
(1近大九州工, 2近大分子工学研, 3産技総研九州センター)
9)マンノース修飾デンドリマー/シクロデキストリン結合体を用いた細胞特異的遺伝子デリバリー
○和田幸樹1, 有馬英俊1, 平山文俊1,
橋本 仁2, 上釜兼人1 (1熊大薬,2横浜国際バイオ)
10)キトサンを用いた膵臓癌細胞への遺伝子導入
○杉浦裕介, 佐藤智典 (慶應大理工)
11)レーザートラップ法を用いたDNAの折り畳み構造制御
○吉川祐子 (名古屋文理短大食物栄養)
12)シゾフィランを利用したアンチセンスDNAの新規なデリバリーシステムの開発
○水 雅美1,2, 甲元一也1,2, 木村太郎3,
櫻井和朗1,2, 新海征治1,4
(1科技団SORST, 2北九州市大国際環境工,
3福岡工技センター生物食品, 4九大院工)
13)バイオビーズを用いた巨大DNA分子デリバリーに関する検討
○長森英二, 水上温司, 高倉友紀子, 曽根岳史, 梶山慎一郎, 原島俊, 小林昭雄,
福井希一 (阪大院・工, 生研機構)
14)バイオナノ粒子を用いるヒト肝細胞癌特異的遺伝子導入
○伊藤慎介1, 多田宏子1, 岩蕗秀彦2,
岡島俊英3, 黒田俊一3, 谷澤克行 3, 山田忠範4,
近藤昭彦4, 岩崎靖士5, 上田政和5,
山田秀徳1, 妹尾昌治1
(1岡山大院自, 2科技団, 3大阪大産研,
4神戸大院自, 5慶應大医)
15)組換えイムノジーン法I:ヒト型化一本鎖抗体の特異性を用いた遺伝子導入法
○高柳 淳, 鈴木正崇, 清水信義 (慶應大学医)
16)組換えイムノジーン法II:負電荷テイル型一本鎖抗体による遺伝子導入法
○鈴木正崇, 高柳 淳, 清水信義 (慶應大医)
17)膜融合活性をもつ高分子を複合化したリポプレックスの調製とその遺伝子導入活性
○花崎美奈子, 河野健司, 高岸徹 (大府大院工)
18)膜融合性リポソーム-リポプレックス複合体の遺伝子導入活性に及ぼすカルシウムイオンの影響
○菅原美紀, 河野健司, 高岸徹 (大府大院工)
19)ポリエチレンイミンを用いた気管内投与による遺伝子デリバリー
○高見澤格, 神野桂子, 斯波真理子 (循環器病センター)
20)RNAiベクター系の開発とその応用
○宮岸 真1, 多比良和誠1,2 (1東大院工,
2産総研ジーン)
21)ハイブリッドアンチセンス法の開発
○二見崇史1, 宮岸 真1, 関 実1,
多比良和誠1,2 (1東大院工, 2産総研ジーン)
22)FRETを用いた生細胞中でのカスパーゼ8活性の可視化
○大貫玲子1,2, 長崎 晃1, 川崎広明1,3, 上田太郎1,
多比良和誠1,3
(1産総研ジーン, 2筑波大院・生命環境科学,
3東大院・工)
23)アミド結合型アンチセンスRNAの固相合成とその二重鎖形成能の検討
岩瀬礼子, ○照屋真彦, 大原一将, 山岡哲二, 村上 章 (京工繊大繊維)
24)がん転移関連遺伝子の網羅的探索
○須山 英悟1,2, 川崎 広明1,2,
多比良和誠1,2 (1東大院工, 2産総研ジーン)
25)光架橋型Decoy
DNA による遺伝子発現制御
村上 章, ◯田代和歌子, 山吉麻子, 岩瀬礼子, 山岡哲二 (京工繊大繊維)
26)末端反応性ポリエチレングリコールーポリジメチルアミノエチルメタクリレートブロック共重合体によるプラスミドDNAのポリイオンコンプレックスミセルへの内包と遺伝子導入における細胞特異性リガンドの効果
○分林大輔1,3, 原田敦史1,3, 長崎幸夫2,3,
片岡一則1,3
(1東大院工, 2東理大基礎工, 3JST・CREST)
27)EBVエピゾーマルベクターを用いたサイトカイン遺伝子治療
○岸田綱郎,浅田秀基,新屋政春,安富花景,平位秀世,今西二郎,松田 修(京府医大)
28)遺伝子ベクターへの応用を目指したプラスミドDNA内包架橋型高分子ミセルの創製
○宮田完二郎, 柿澤資訓, 原田敦史, 片岡一則 (東大院工, CREST)
29)インジウム−111−DTPA錯体を利用したプラスミドDNAの新規放射標識体の開発と体内動態評価への応用
○中野貴透, 岡部貴幸, 西川元也, 山下富義, 橋田 充 (京大院薬)
30)メチル化BSA複合体化によるプラスミドDNAの局所投与時の動態および免疫応答の制御
○川瀬篤史, 小林直樹, 高倉喜信 (京大院薬)
31)FACSシステムを用いた非ウィルスベクター遺伝子導入効率の解析
○木村 剛, 山岡哲二, 岩瀬礼子, 村上 章 (京工繊大繊維)
32)末端反応性ポリエチレングリコール-ポリエチレンイミンブロック共重合体とプラスミドDNAからなるポリイオンコンプレックスミセルを用いた遺伝子導入
○秋山好嗣1,3, 原田敦史1,3, 長崎幸夫2,3,
片岡一則1,3
(1東大院工, 2東理大基礎工,
3CREST)
33)光開裂性ポリアミドアミンデンドリマーのトランスフェクション光制御
○岸本尚明, 林 由香, 谷口晶宣, 長崎 健 (阪市大院工)
34)光開裂性リポプレックスのトランスフェクション光促進機構
○谷口晶宣、長崎 健 (阪市大院工)
35)GM2 gangliosidosis
model miceを用いた、プラスミドベクターによる遺伝子治療
○山口 章, 勝山佳代子, 鈴木京子, 青木一郎, 山中正二 (横浜市大医)
36)光ピンセットを活用した細胞へのデリバリーシステム
○久保康児1, 市川正敏1, 野村慎一郎2,
小山義之3, 新留琢郎4, 山岡哲二5, 吉川研一1
(1京大院理・CREST, 2東京医歯大,
3大妻女子大, 4長崎大工, 5京工繊大繊維)
37) 三重鎖DNA 形成にもたらすポリリシングラフト共重合体とDNA
とのコンジュゲート化効果
○斎藤美奈子2, 上田真奈美1,
佐藤雄一2, 狩野有宏2,
・赤池 敏宏1, 丸山 厚1,2
(1東工大院生命理工, 2科技団さきがけ
38) タンパク/DNA
コンジュゲートによるPNA の細胞特異的核内デリバリー
○小原健太郎, 石原 務, 狩野有宏, 赤池敏宏, 丸山 厚 (東工大院生命理工)
39) 共重合体を用いたポリイオンコンプレックスミセルによる遺伝子導入
○斯波真理子1・山内教輔1・原田敦史2・片岡一則2(1循環器病センター研,
2東大院工)