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井原研究室・工藤悠暉君が受賞しました!

井原研究室・北村グループ・工藤悠暉君(修士1年生)が第37回九州分析化学若手の会 夏季セミナーにおいてポスター賞を受賞しました!

~工藤悠暉くんによるポスター内容の説明~

進行したがんでは、一部の腫瘍細胞が原発腫瘍組織から剥離し、血液やリンパ液の流れに乗り、行き着いた先でがんの転移を引き起こしていると考えられております。このようながん細胞は1 mLの血液中にわずか数個から数十個程度しか存在しないため、その検出は極めて困難であります。現行法では、がん細胞膜上に高発現するマーカータンパク質(上皮細胞接着因子:EpCAM)の免疫染色を行い、CTCを直接観察するという原始的な手法が
主に用いられています。
我々は、同高発現マーカータンパク質を起点とし、多点で発光シグナルを増幅できれば、このような微量細胞を溶液の発光をモニターするだけで簡便かつ高感度に検出可能であると考えました。
本研究では、EpCAMを認識する素子として核酸アプタマー(核酸抗体)を利用しました。また、同アプタマーには任意の核酸タグを付与し、このタグ部位を開始剤としてDNAサーキットと呼ばれる自発的シグナル増幅反応の実行を試みました。結果、期待した通り、標的とするMDA-MB-453細胞(ヒト乳癌細胞)由来の溶液から、増幅した発光シグナルを得ることができました。一方、HEK-293T細胞(ヒト胎児腎細胞)由来の溶液からは、強い発光は得られませんでした。今後は、血中に循環する腫瘍細胞レベルの細胞濃度や種々の細胞種における実験等を進めていく必要がありますが、将来的にがんの簡易検査、治療や投薬効果の確認に利用できるようなシステムに発展していくことを期待しております。