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伊田研究室・溝口さんの研究が論文掲載されました!

伊田研究室・鯉沼グループ・溝口拓哉君(博士前期課程2年生)の研究がChem. Lett.に掲載されました!

~溝口さんによる論文の説明~

近年、気候変動や人口増加によって、我々の生活に不可欠な飲料水が乏しくなってきています。その解決策として、海水を淡水に変える脱塩膜が有効だと言われています。このような背景がある中、安く合成できる酸化グラフェン膜が次世代の脱塩膜として注目されています。

酸化グラフェン膜は、炭素原子がハチの巣格子状に結合したグラフェン骨格を有したナノシートが大量に積層した膜であるため、薄く、高い強度を持っています。さらに、様々な酸素官能基を有しており、水分子だけを高速で透過させることが知られています。しかし、従来の酸化グラフェン膜は金属イオンを透過させてしまう性質があり、脱塩膜として使用するには改良が必要でした。

そこで本研究では、酸化グラフェン膜の酸素官能基のうちカルボキシ基に着目し、合成法や光照射法を用いて、カルボキシ基の制御に取り組みました。その結果、カルボキシ基がない酸化グラフェン膜の作製に成功し、従来の膜よりも高い水の選択性を示しました。この研究の成果が、今後の酸化グラフェン膜を用いた脱塩膜の研究に貢献できることを期待しています。