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國武研究室・渡邉助教の研究がLangmuirに掲載されました

國武研究室渡邉助教の研究が論文(Langmuir)に掲載されました!

渡邉先生に研究のご解説をいただきました!

異なる動きを引き出すには、従来だと集光した光を船の望む位置に照射していたために、船のサイズが小さくなると複雑に動かすのが困難でした。この問題を解決するために、本技術では2種類の波長選択性の光熱変換材料を船の別々の箇所に組み込みました。光を船の全面に当てても、船の望む場所からしか発熱しないために、マイクロメートルサイズなど小さい船でも自在に動かせることが期待できます。マイクロサイズの物体を自在に動かす技術は、生体内の治療用マイクロロボット、マイクロチップ中のマイクロマシンなどへの応用に繋がり、医療・生命科学分野への発展が期待できます。このコンセプトが認められ、本成果は2021年12月7日にアメリカ化学会のLangmuir誌に掲載されました。

【マランゴニ効果】樟脳船やポンポン船は水面上に熱や化学物質を放出し、水面の表面張力の差を作ることで、水面を移動する駆動力を得ます。この現象は水面上の物体を簡便かつ低エネルギーで移動できることからマランゴニ効果として知られています。このマランゴニ効果を近赤外光と組み合わせることで、光操作による物質輸送をしようという試みが注目されています。光でマランゴニ効果を生み出すために、物質に光を吸収し、熱を発する炭素系の光熱変換材料が用いれています。

【希土類光熱変換材料】希土類材料は、近赤外光領域に狭い吸収を持つ材料として注目されており、主にレーザーやイメージング用の発光体として利用されています。発光体としての応用が多い中で、渡邉らのグループでは、発光効率を高める工夫を熱変換に応用することで、良好な波長選択性の光熱変換材料を開発していました。

【近赤外光】近赤外光は波長800 nmから2500 nmの電磁波で、目に見えない、生体深部に到達可能、太陽光の4割を占めるなどの特長からディスプレイ、医療、エネルギー分野で注目されています。