井原研究室・朝比奈 雄志さんが日本分析化学会九州支部第36回若手研究講演会および第41回夏季セミナーでポスター賞(九州分析化学若手賞)を受賞しました!
~朝比奈さんによる受賞内容の説明~
研究題目「Ru複合錯体を鋳型特異的に連結脱離するDNAプローブの設計と核酸検出への応用」
従来の核酸プローブは、標的核酸と1:1の量的関係で蛍光などの検出シグナルを発するため、標的核酸が少量であるとPCRの増幅なしでは検出が困難となっていました。そこで本研究では、検出シグナルを増幅する触媒として標的核酸を利用する技術の開発を行っております。ルテニウム錯体を修飾した2種の核酸プローブが標的核酸に隣り合って結合すると、近接したルテニウム錯体部位同士が連結脱離する仕組みとしました。カチオン性のルテニウム錯体は、負電化を帯びた二本鎖核酸構造を大きく安定化する性質を持っております。したがって、これが脱離すると、逆に形成していた二本鎖は不安定化してしまいます。ルテニウム錯体修飾核酸プローブを過剰に添加しておけば、標的核酸へ結合し錯体部位が連結脱離する反応が自動的に繰り返されます。その結果、少量の標的核酸から多くの連結錯体が得られます。金属錯体はイオン化効率が高いため、これを間接的な検出対象とし、質量分析法による検出を実施しました。その結果、極微量の標的核酸(25 pmol)を同核酸プローブと混合し、15分間インキュベートするだけで検出することに成功しました。新たな核酸のハイスループット検出法として期待されます。