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井原研究室・森 萌音 さんが表彰されました!

井原研究室・森 萌音さんが日本分析化学会第74年会にて若手ポスター賞を受賞しました!

研究題目「細胞膜表面タンパク質を標的とした腫瘍細胞のシグナル増幅型検出」

発表形式:ポスター発表

~受賞の説明~

進行したがんでは、腫瘍細胞の一部は原発部位から離れて血液やリンパ液に流れ込み、体内を移動して到達先で転移を引き起こすとされています。このような血中を循環する腫瘍細胞(CTC)は、血液1 mL中に数個から数十個しか存在しないため、その検出は非常に困難です。私達は、細胞の表面に多く存在するマーカータンパク質を手掛かりにして、発光シグナルを自発的に増幅することができれば、わずかな数の細胞であっても、容易かつ高感度に検出できると考えました。過去の研究にて、CTCの膜上に高発現する上皮細胞接着因子(EpCAM)をきっかけとして、目視可能な増幅発光を得ることに成功しておりました。しかしながら、CTCの一部は上皮間葉転換(EMT)を起こしEpCAMの発現量が低下していると考えられており、そのようなCTCの検出は困難と考えられておりました。一方、間葉系の表現型を有するCTCでは、細胞表面に移行したビメンチン(CSV)が多く存在しております。本研究では、EpCAMやCSVを認識する素子として核酸アプタマーを利用しました。また、同アプタマーには任意の核酸タグを付与し、このタグ部位を開始剤としてDNAサーキットと呼ばれる自発的シグナル増幅反応の実行を試みました。その際、EpCAM応答性のDNAサーキットからは緑色、CSV応答性のDNAサーキットからは赤色の発光が増幅する仕組みとしました。結果、標的とするEpCAM 高発現細胞であるMDA-MB-453細胞(ヒト乳癌細胞)からは視認可能な緑色の発光が、CSV高発現細胞であるT24細胞(ヒト膀胱がん細胞)からは視認可能な赤色の発光を得ることができました。将来的に、本システムががんの簡易検査や治療効果・投薬効果の評価に役立つ技術へと展開していくことを期待しています。