井原研究室・堀田 沙希 さんが第86回日本分析化学討論会にて若手ポスター賞を受賞しました!
研究題目「細胞表面マーカーとの結合を利用した血中循環腫瘍細胞の特異的捕捉」
発表形式:ポスター発表
~受賞の説明~
がんは、日本人の2人に1人が罹患する非常に身近な病気です。しかし、現在主流である画像診断では米粒大以下の小さながんを発見することが難しく、早期診断における大きな課題となっています。本研究では、身体への負担が少ない採血のみでがんを早期発見できる診断技術の確立を目的としています。
そこで、がんがまだ微小である早期ステージの患者の血液からも発見される「血中循環腫瘍細胞(CTC)」に着目しました。CTCは全身の血液を循環するがん細胞ですが、膨大な数の血球細胞に対し、CTCは数十億分の一以下と極めて希少です。そのためCTCの特性を利用した「物理的分離」と、分子認識による「化学的分離」を組み合わせた捕捉システムを構築しました。
物理的分離においては、流体の圧力に応じて開口する金フィルターを用い、血球細胞とのサイズおよび変形能の差を利用した分離を行いました。さらに化学的分離として、多くの固形がんに高発現するEpCAMやCSVという膜タンパク質に着目し、これらに特異的に結合する一本鎖DNA(アプタマー)を金フィルター上に修飾しました。この修飾フィルター上にEpCAM高発現細胞(MDA-MB-453)およびCSV高発現細胞(T24)の各懸濁液を通液したところ、アプタマー非修飾フィルターと比較して有意に高い細胞捕捉数を示し、優れた捕捉特異性が実証されました。続いて、がん患者の血液を用いた臨床試験では、CTCの捕捉数が病態の推移と密接に相関して増減することを実証しました。さらに、既存の検査で陰性と判定された症例からもCTCを検出でき、本デバイスの高い感度を証明しました。本システムが、早期診断や、患者一人ひとりに適した個別化医療の発展に寄与することが期待されます。
