熊本大学 産業ナノマテリアル研究所 工学部 材料・応用化学科/大学院自然科学教育部 材料・応用化学専攻 無機材料

津川樹さんが第13回CSJ化学フェスタ2023において優秀ポスター発表賞を受賞しました。

博士後期課程1年の津川樹さんが2023年10月17日~19日に行われた第13回CSJ化学フェスタ2023で優秀ポスター発表賞を受賞しました。

発表題目「酸化グラフェンの表面酸素官能基制御によるバリア性能向上の研究」

 

受賞内容概要

酸化グラフェン(GO)は、炭素と酸素原子からなる二次元材料で、シート表面に多種の酸素官能基を有するため、多くの溶媒に高い分散性を示します。このGO分散液を滴下するだけで多様な形状に合わせた積層膜を容易に作製することができ、高い柔軟性・機械的強度、高アスペクト比など、ガスバリア材料に向けた優れたポテンシャルを持ちます。しかしながら、従来用いられてきたGO面内には多くの欠陥構造(ナノポア)が存在するため、結果的にGOのバリア性はグラフェンよりも圧倒的に低いことが知られています。またナノポアは、GO作製時に制御不能で導入されるため、バリア性を向上させるには、厚膜での使用や、強力な還元剤を使用したグラファイト化が必要で、基材へのダメージや危険性を考えた場合、現実的ではありません。本研究では、このような認識を一掃するナノポアをほとんど持たないGOの合成法およびそれを用いた自立膜が従来のGO膜に比べて104倍優れたガスバリア性能を示すことを明らかにしました。
このようなナノポアをもたないGOは全く新しい二次元炭素材料と考えるべきであり、今後カーボン関連材料の研究開発を一層発展させることが期待されます。