熊本大学 産業ナノマテリアル研究所 工学部 材料・応用化学科/大学院自然科学教育部 材料・応用化学専攻 無機材料

佐松理子さんが第61回化学関連支部合同九州大会において優秀研究発表賞を受賞しました。

博士前期課程1年の佐松理子さんが2024年7月6日に行われた電第61回化学関連支部合同九州大会で優秀研究発表賞を受賞しました。

発表題目「銀層状化合物の合成と剥離」

受賞内容概要
銀層状化合物は、層状構造であるラメラ構造を持つモノ・ジカルボン酸を鋳型として末端にAgを結合させた物質で、二次元材料であるナノシートへの剥離が期待されています。銀は特異的な熱・電気特性や抗菌性などユニークな性質を示す金属であり、ナノシート化することによる触媒材料への応用などが考えられています。銀ナノシートの作製について、カルボン酸間の疎水性相互作用を弱めて剥離し、親水基を還元する方法を考えたが、銀は共有結合性が高いことから水酸化銀が安定に存在できず、酸化銀(Ⅰ)へと脱水する過程で凝集してしまうため、剥離が難しいという問題があります。本研究では、今まで用いてきた長鎖カルボン酸ではなく、短鎖モノカルボン酸を使用した銀層状化合物を作製し、剥離を行いました。その中でも炭素数が5個である吉草酸を用いた銀層状化合物を剥離したところ、原子層レベルではないが厚さ約3.7 nmのナノシートを得ることができました。
このような銀を用いたナノシートは新しい二次元材料として触媒関連材料の研究開発を発展させることが期待されます。