熊本大学 産業ナノマテリアル研究所 工学部 材料・応用化学科/大学院自然科学教育部 材料・応用化学専攻 無機材料

梶原優也さんが第34回日本MRS年次大会において若手奨励賞受賞を受賞しました。

博士前期課程2年の梶原優也さんが2024年12月16日~18日に行われた第34回日本MRS年次大会(国際セッション)で若手奨励賞受賞を受賞しました。

発表題目「Electronic metal–support interaction effects and toluene combustion performance of Pt/MnO2 catalysts with different electronic properties」

 

受賞内容の説明

近年、触媒性能に大きな影響を与える一つの要因である金属-担体相互作用が注目されています。金属-担体相互作用とは、金属(活性種)とそれを支える担体(アルミナ、シリカ、二酸化マンガンなど)との間で生じる相互作用のことであり、触媒の電子状態や分散性を変化させ、触媒性能に大きな影響を及ぼすことが知られています。本研究では、高い酸化還元特性を持つα-MnO2を担体として用い、電子状態の異なる白金を担持またはドープした触媒を合成し、大気汚染や健康被害の原因となる揮発性有機化合物(VOC)であるトルエンの分解性能を比較しました。その結果、酸化状態の白金(Pt2+やPt4+)ではなく、金属状態の白金(Pt0)を多く持つ白金ナノ粒子担持触媒が最も高い触媒性能を示しました。さらに金属-担体相互作用を明らかにするため、電子エネルギー損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy, EELS)による局所的な化学状態分析を行ったところ、白金からα-MnO2へ電子移動が生じていることが確認されました。この結果は、金属-担体相互作用に関する理解を深め、触媒性能を向上させる新たなアプローチを提供する可能性があります。これらの内容を第34回日本MRS年次大会の国際セッションにて発表し、若手奨励賞を受賞いたしました。