熊本大学 産業ナノマテリアル研究所 工学部 材料・応用化学科/大学院自然科学教育部 材料・応用化学専攻 無機材料

津川樹さんが第59回化学関連支部合同九州大会において優秀研究発表賞を受賞しました。

博士課程2年の津川樹さんが2022年7月2日に行われた第59回化学関連支部合同九州大会において優秀研究発表賞を受賞しました。

発表題目「高結晶性酸化グラフェンの電気的特性評価」

酸化グラフェン(GO)は、主に炭素と酸素原子からなる二次元材料です。GO研究の初期からグラフェンを簡便な方法で合成することを目的とした研究が盛んに行われてきましたが、還元処理後の品質が乏しく、新たな炭素源を供給しない限り欠陥を修復することはできません。そこで本研究ではGOのもつ複雑な構造に着目し、酸素官能基を単一に制御することで規則的な構造をもつ高結晶性酸化グラフェン(epGO)を合成することに成功しました。epGOはシート面内にほとんど欠陥をもたないため、これを還元した擬似グラフェンは従来のGOの性質を大きく上回ります。さらにGOを用いたウェットプロセスは、基板の種類・形状に限られることなく、低エネルギーかつ大面積でのグラフェン合成が期待できます。これらの結果は、今後のGO研究の発展を促すだけでなく、産業的な応用に向けて重要なデータだと言えます。この内容を第59回化学関連支部合同九州大会にて報告し、本賞を受賞しました。今回の発表は対面のポスターセッション形式で、最前線の研究者と直接議論を交わすことができ、多くの方に興味を持っていただけました。今後もさらなる課題の解決に向けて研究を行います。