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勝田陽介助教が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)のプロジェクトに採択されました!

2019年12月16日より創薬基盤推進研究事業における「創薬デザイン技術開発研究:Staple核酸を用いた新規核酸医薬開発」のプロジェクトが開始します。本プロジェクトの内容を勝田先生に聞いてみました!

現在、我々ヒトを始め多くの生物は数えきれないくらい数多くの病気と闘っています。もちろん、病院で治療する必要がないような軽い病気も含まれていますが死に至るような重篤な病気であるにも関わらず未だ治療薬がないどころか開発すら始まっていないような病気も数多く存在しています。

その理由の一つは薬の標的にあります。現在の製薬会社ではタンパク質を標的にした薬の開発が進んでいます。最近多くの期待が寄せられている抗体医薬品もその標的はタンパク質です。なぜタンパク質を狙うのか?その答えは本当に単純で、生物の中で働いているタンパク質の一つ一つは異なる形をしているからです。つまり良い薬とはタンパク質の形の違いをきちんと認識して、病気の原因となっているタンパク質だけに結合する化合物なんでしょうけど、こんな都合がいい化合物を探すことがとても難しいんです。

最近メディアでも報道されていますが、こういった難しさのせいで一つの薬を作るのに何十億円という費用と10年以上の時間を費やして開発するわけです。これだけの労力を割くからには当然市場原理としては「売れる」薬を作る必要があり、希少疾病のような患者数が少ないような疾病の新薬は開発が進まないわけです。

そこで僕たちのグループでは京都大学の佐藤慎一先生や弘前大学の萩原正規先生と共同で悪いタンパク質を作る原因となっているRNAを標的とする薬の開発に取り組んでいます。

もちろんRNAを標的とする薬の開発は我々が思いついたわけではなく、1990年代から取り組まれていました。しかし残念ながら医薬品として活躍している核酸医薬はほんの数種類で、そのほとんどが色々な問題に跳ね返されてしまい開発が止まってしまいました。

今回我々が取り組んでいる新しい核酸医薬は今までの方法とは全く異なる原理で病気の原因タンパク質の発現を抑え込む技術です。このAMEDのプロジェクト期間内で臨床試験にまで発展されることができるように頑張りたいと思っています!