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伊田研究室・津川樹 さんが表彰されました!

伊田研究室・津川樹さんが電気化学会第89大会で「優秀学生講演賞」を受賞しました!

~津川さんによる受賞内容の説明~

酸化グラフェンは分子レベルの厚さを有しており、表面の多様な酸素官能基やsp2炭素領域、欠陥構造に起因した様々な特性が発現するため、多くの分野で研究されています。しかしながら、前述のような複雑な構造は、構造設計や特性の制御、メカニズムの検討を困難にするなど、酸化グラフェンの研究を妨げる原因でもありました。我々はこれまでにBrodie法を用いた酸化グラファイトを剥離することで、欠陥構造密度が小さく、単一の酸素官能基からなる構造規則性の高い酸化グラフェン(epGO;epoxy group-controlled Graphene Oxide)を合成することに成功しています。今回の発表では、epGOの産業利用に向けて、高い構造規則性を利用したアプリケーションを報告し、本賞を受賞しました。酸化グラフェンは元来グラフェンの前駆体として開発されましたが、ほとんど欠陥構造をもたないepGOは従来のものよりも質の高い疑似グラフェンとなる可能性があります。本研究では、還元型epGOの電気伝導度に関し、他の製法から得たものよりも約10倍高い値を報告しました。この結果は、epGOが薄膜電子デバイス材料として非常に期待できることを示しています。今後の展開としては、グラフェンへの還元条件を検討していくのと同時に、ガス分離膜やナノコーティング材料等への応用を考えています。