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伊田研究室・津川 樹さんが表彰されました!

伊田研究室・津川 樹さんが第60回化学関連支部合同九州大会で「若手研究者奨励賞」を受賞しました!

~津川さんによる受賞内容の説明~

研究題目「単一酸素官能基を有する酸化グラフェンを用いた高品質グラフェン膜の合成」

グラフェンは地球に存在する物質の中で最も熱伝導性が優れ、電気伝導度もトップクラスの材料ですが、合成面に課題があります。本研究では酸化グラフェン(GO)という材料を用いて、この課題に挑戦しています。GOはグラフェン骨格上に多種の酸素官能基と高密度の欠陥構造(ナノポア)を含んだ複雑な構造を有しており、電気絶縁性やプロトン伝導性を示す一方、還元処理を施すことで電子伝導度の高い材料となるためグラフェンへの応用に期待されています。しかしながら、還元後も存在する多くのナノポアによって、その電子伝導度はグラフェンに遠く及びません。我々は以前の研究で、単一の酸素官能基を有する新規GOの開発に成功し、その詳細な構造を明らかにしました。また最近では、この新規GOはナノポアがほとんど存在せず、構造規則性が高いことがわかってきています。実際に、これを還元処理したものは従来より電気伝導度が約10倍高く、必要な還元温度も比較的低温であることが明らかとなりました。我々が開発した材料を用いることで、低温(150℃以下)で高品質なグラフェンへの還元が成功し、報告することができたならば、今後の電子デバイスの軽量化と高性能下の面において、そのインパクトは産業的にも非常に大きいものと考えています。