お知らせnews

伊田研究室・渡邊 春樹さんが表彰されました!

伊田研究室・渡邊 春樹さんが日本化学会秋季事業第13回CSJ化学フェスタ2023でポスター賞(優秀ポスター発表賞)を受賞しました!

 

~渡邊さんによる受賞内容の説明~

研究題目「無機ナノシートを固体電解質として用いた新規燃料電池の開発」

水素社会の構築において、燃料電池は最も信頼できるエネルギー変換デバイスです。燃料電池の中でも固体高分子を固体電解質として利用した固体高分子形燃料電池は、作動温度が低いことや軽量でコンパクトであることから自動車産業等で注目されています。最も主流な電解質であるナフィオン膜は、化学的安定性が高く、プロトン伝導性が高いなど、多くの利点があります。しかし、ナフィオン膜には水素漏れが発生しやすい点、100℃以上での発電が困難な点、環境負荷などの課題点が残されています。そこで、我々は無機ナノシートに着目しました。無機ナノシートのメリットは、積層させた際に迷路構造を形成することで生じる高いガスバリア性、無機材料由来の耐熱性や機械的、化学的耐久性があることが挙げられます。以上の点から本研究では、層状ケイ酸塩をナノシート化させたものを固体電解質として用いた新規燃料電池の開発を試みました。その結果、ナフィオン膜の約500倍のガスバリア性と高い燃料電池特性を得ることができました。
 これらの結果は、無機ナノシートを燃料電池の固体電解質として利用できる可能性を示しており、固体電解質の開発に関して、ブレークスルーをもたらす新たな材料として期待できると考えられます。