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町田研究室・岩下 峻大さんが表彰されました!

町田研究室・岩下 峻大さんが第33回キャラクタリゼーション講習会でポスター賞を受賞しました!

 

~岩下さんによる受賞内容の説明~

研究題目「Pd/CeO2-ZrO2-Al2O3の実使用環境下におけるシンタリング速度解析」

自動車排ガス浄化触媒として使用される三元触媒には、Al2O3、ZrO2などの担体上にPt、Pd、Rhといった貴金属元素とCeO2などの酸素吸蔵能をもつ助触媒が塗布された構造が一般的に用いられています。この触媒が高温の排出ガス成分に曝されて活性温度に達することで、排ガス成分である窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)および未燃の燃料成分である炭化水素(HC)を同時に浄化し、排ガスの無害化に貢献しています。加速減速を繰り返す自動車の後処理環境は複雑な点が多く、とりわけ温度や反応雰囲気が高速に変動する実使用環境下における三元触媒の反応機構は未だ解明されていません。さらに、三元触媒は最高1000℃の高温排気に曝されるため、顕著な熱劣化を引きおこし、触媒性能が著しく低下することが知られています。例えば、CeO2-ZrO2-Al2O3(CZA)に担持されたPd触媒は実使用環境下において、Pdが著しく粒成長(シンタリング)し、CZの界面のPdサイトが急速に減少することで活性点が失われ、顕著な劣化を引き起こします。しかしながら、実使用環境下でのPd粒子のシンタリング速度については明らかになっておらず、近年導入が進められている数値シミュレーションを活用した触媒設計および触媒劣化予測を可能にするうえでの大きな障壁となっています。

本研究では、Pd/CZA触媒の実使用環境下における熱劣化挙動を解析し、Pdのシンタリング速度の定式化を目的としました。Pd/CZA触媒について実使用環境下での耐久試験(E/D耐久)を行った結果、触媒性能の低下に対応してPd粒径が増大していることが明らかとなりました。そのため、Pdの粒径変化に着目し、系統的なPdシンタリング速度解析を試みました。Pd粒子径の温度・時間依存性の結果から、Pd粒成長の活性化エネルギーなどを算出し、この結果から、任意の耐久温度でどのくらいPd粒子が成長するのかを算出することができる式を定式化することに世界で初めて成功しました。今後、本研究をもとに触媒劣化予測に繋げ、三元触媒の開発スピードの向上が期待されます。