そもそも半導体光触媒はHonda-Fujishima効果として世界的に知られた大発見。また、水の全分解に活性な光触媒は最近、東工大の堂免先生を中心とする研究グループが画期的な材料を開発しており、日本が世界をリードしている。うちでは、もともと持っている無機材料合成および構造変換の技術を使って多様な新しい半導体光触媒を開発することを目的として6年くらい前に研究を開始しました。うちの学科で光触媒とか光有機化学とかは、保田・白上研究室が長く活発に研究されています。うちの特徴は、無機材料をベースとする半導体光触媒であること、そして化学反応そのものよりも光触媒材料の開発と作動原理の解明に力を注いでいることでしょうか。
Q どんな実験やってんの?
光触媒反応は、半導体光触媒(通常、粉末)を水に懸濁した状態でセルに入れ、下の写真にあるような閉鎖循環系装置に接続します。セルを真空排気してアルゴンガスを150torr入れ、非常に強い光源、例えば高圧水銀ランプやキセノンランプから発せられる紫外可視光を懸濁液に照射します。発生したガス(水素、酸素など)はガスクロマトグラフで分析します。
光触媒反応装置。こんなのが合計3台あります。
光触媒の構造はX線回折、電子顕微鏡、物性・電子構造は紫外可視反射スペクトル、蛍光スペクトル、X線光電子分光などで調べます(研究室と機器分析センターの機器)。また、半導体のバンド構造を理論計算して実験結果と比較検討します。
Q どんな光触媒材料を研究しているの?
うちのグループの得意分野の一つは層状物質。層と層との隙間に異なる物質を挟み込んだ、サンドウィッチ状の複合構造を容易につくることができます。半導体から構成される層状物質を使えば、挟み込む物質(サンドウィッチの具)によって電子状態も変化し、高い活性が発現すると期待してます。 |