このページは物質環境化学科3年生向けです

キーワードその「環境触媒」

Q 環境触媒って何?

 20世紀の負の遺産というべきか、地球環境問題の深刻化。非難の矛先はいつも「化学」だけど「化学」の恩恵をありったけ受けているのは人間サマなのですぞ。それは兎も角、蒔いた種は自分で刈るわけで「化学」の21世紀の任務は"Save the Earth"。汚染物質を浄化するには、触媒は欠くことのできない技術、触媒化学は地球を救うのだ!というわけで環境浄化に使われる触媒はどんなものがあるかというと...

  1. 自動車排ガス浄化触媒(NOx、CO、HC)
  2. 脱硝触媒(火力発電所などのNOx)
  3. ディーゼルパティキュレート浄化触媒
  4. ダイオキシン分解触媒
  5. フロン分解触媒
  6. 環境光触媒(NOx、VOC、有機成分など)
  7. VOC分解触媒(揮発性有機成分、sickhouse症候群の原因)
  8. オゾン分解触媒
  9. 脱臭触媒
  10. 水浄化触媒(硝酸イオン、アンモニアなど) などなど

自動車をはじめ、身の回りにいろんな環境触媒が働いているんだなと納得していただけました?ガッテンガッテン

 

Q で、どんな環境触媒やってんの?

 上にあげた中で、1.2.6.7.10.辺りに興味を持っています。特にNOx浄化あるいはNOx除去について中心に研究を進めています。NOxってどうやって浄化する思います?還元してN2にする?その通りです。だけんど「言うは易く行うは難し」です。何故って、例えばディーゼル自動車のエンジンからでるNOxって高々数100ppm、その他にO2、H2O、CO2などのガスがずっと多く(数パーセント)含まれています。NOx還元したいのに酸素が多量にふくまれてちゃあ難しいわけ。水や二酸化炭素も反応を邪魔する可能性が高いんです。こんな極限条件でNOxを効率良く還元する触媒が必要になるのです。

 うち独自のアプローチとして、触媒にNOx吸着能力を複合化した材料の開発があります。これは表面にNOxを多量に吸着する材料と貴金属を組み合わせたもので、貯め込んだNOxを一網打尽に還元しちゃいます。今やっている研究の中心は水素を使ったNOx還元。何故水素なのかというと100℃以下の低温でNOxを還元できるので、いろんな応用が可能になると考えたからです。ただし、H2は高価なので出来る限り消費量を抑えなければなりません。触媒化学の腕の見せ所というわけです。

 詳しい内容については、リンクを張っておきますので、覗いてみてください。なおこのページにもどるときは、ブラウザのbackボタンをおしてくださいね。では。

  • NOx吸ってN2を吐く触媒
  • NOx吸着して一網打尽型触媒
  • 常温NOx還元触媒