杉本研究室・立石優輔さんが第45回ケモインフォマティクス討論会で「優秀ポスター賞」を受賞しました!
~立石さんによる受賞内容の説明~
研究題目「電子状態インフォマティクスによるα-glucosidase阻害剤の活性予測」
近年、計算技術を用いて、新材料を開発したり、既知化合物(例:天然物)の中から医薬品として有望な分子を探索するなど、化学情報学(ケモインフォマティクス)や生物情報学(バイオインフォマティクス)の研究に、大きな注目と期待が集まっています。今回の発表では、所属研究室で考案された電子状態インフォマティクス(ESI)手法を用いて、α-glucosidase阻害剤の活性値(IC50)の予測に関する研究成果を報告し、表彰を頂きました。また今回の研究では、従来のESI手法の改善に挑戦するとともに、ESI手法の創薬分野への応用可能性についても検討しました。計算技術を用いた本研究はα-glucosidase阻害剤の活性予測が可能かつ有意義であることを示しており、積極的な計算技術の活用が、今後の医療・創薬分野の更なる発展に寄与するものと考えられます。
(補足) α-glucosidaseは主に小腸に存在する酵素であり、多糖類のα-1,4-グリコシド結合の加水分解反応を触媒し、単糖への分解を促進します。この働きを阻害することで、糖吸収による血糖値上昇を抑制することが可能であるため、α-glucosidase阻害剤は抗糖尿病薬として用いられています。α-glucosidase阻害剤の承認薬として優れたものがいくつか存在しますが、副作用の発現や高い合成コストなど、課題が依然として存在します。そのため、より副作用が少なく、合成が容易なα-glucosidase阻害剤の開発が求められています。