超分子化学研究室


  超分子集合体・機能性微粒子・ハイブリッドゲル・有機-無機複合体

WILDCATS

Research works

私たちの超分子化学研究室は、有機分子、高分子、無機化合物を様々な方法で組み合わせることにより、素材のもつ機能を増幅、変換するとともに、新しい機能の創出を目指した研究・開発を行っています。形状制御、配向構造制御、空間構造制御など、様々な概念を材料に導入することで、これまでにない形態や機能をもつ材料開発の基礎研究を行っています。また、海外の大学、研究機関との国際共同研究による研究分野の深化、創出を推進するとともに、国内の技術センター、大学、民間企業との共同研究を通して新材料の実用化を目指した研究・開発を行っています。

ここでは、私たちの研究室で行っている研究の狙いとコンセプトについて紹介します。

キラル超分子集合体

生命に見られる多くの分子は、相互認識により高度な三次元集合構造体を形成しています。分子の相互作用部位や分子パッキングなどを考慮し分子設計した分子を有機合成的手法で作製すると、生体分子に類似した集合構造体を形成する場合があります。このような分子の自己組織化により形成される超分子集合体に関する研究は、1980年代から始まっており、分子集合体を利用することで生体類似機能を人工的に再現することができるようになってきています。分子が組織的な集合構造を形成することで、分子の機能を超える超機能を発現する場合があります。超分子(超分子集合体)化学と呼ばれる研究分野において、私たちはナノサイズの一次元分子集合体の形成や機能を対象とした研究を行っています。例えばナノファイバー、ナノラセン、ナノリボンなど、特殊な分子が創りだすユニークな分子集合体は、その形態的な興味の他に光学活性(キラル)の増幅という特殊な分子配向に基づく機能を発現します。このような超分子集合体のユニークな機能や形態は、従来の有機分子では達成しえないものであり、高度かつ複雑な光学素子、分子認識素子、ナノ材料としての利用が期待されています。

アミノ酸誘導両親媒性分子から自己組織的に形成されたナノチューブ状会合体.直径は20-30nm、長さは1µm以上.

機能性微粒子

ポリマー微粒子は、工業材料、医薬品、環境、エネルギーなど幅広い分野で多岐にわたって利用されており、その機能は、微粒子の素材、サイズ、形状、表面構造によって特徴づけることができます。私たちは、ポリマーを基材とする様々な微粒子の合成と機能化について検討するとともに、分離・吸着材、遺伝子キャリア、精密研磨などの分野への応用展開を目指した研究を行っています。特に微粒子表面の形状や構造、機能に着目し、微粒子表面をポリマー鎖のグラフト化や無機ナノ粒子の集積化により改質することで、微粒子界面に新しい機能を付与した機能性微粒子の開発に取り組んでいます。たとえば、無機ナノ粒子をポリマー微粒子界面に集積化したコアシェル微粒子は、異なる素材を組み合わせることで、新しい機能の創出や相乗効果による機能の増幅が期待できます。多様な組み合わせの中から、任意に材料を選択し、サイズや粒度分布を制御することで、目的に応じたカスタマイズ化も容易となり、その応用範囲が格段に広がると期待されます。また、10nmから1000nmの範囲の単分散性の高い微粒子開発に取り組んでいます。10nmから1000nmの範囲はトップダウン(粉砕法など)による形状制御の下限と分子サイズの上限との境界領域として、非常に興味深いサイズレンジです。単分散性(均一性)の高い微粒子は、構造色やブラックマスクなどの光学材料として、また薬物のキャリア(DDS)、ハイパーサーミア(癌の温熱療法)などの生体利用など、広範な分野への応用が期待されます。

表面にリンクル構造をもつハイブリッド微粒子.内部(コア)は柔らかいポリマー、外側(シェル)は硬いシリカで構成されている.

マルチ架橋ハイブリッドゲル

ゲルは、ゼリーやこんにゃくなどの食料など、生活、環境に多く存在しており、一般的にはポリマー鎖が網目状構造を形成し、溶媒を取り込むことで形成されています。ゲルは、吸水剤や徐放剤、化粧品、薬剤、生体代替・模倣材料など様々な分野で利用されています。近年は、センサーやドラッグデリバリーへの応用を目的とした熱やpH、光などに応答して形状や体積を変える刺激応答性ゲルや、構造材料としての利用を目的とした高強度ゲルの開発が進められています。一般的な有機ゲルは、2官能性の架橋剤による化学的な架橋やポリマー鎖が絡まり合うことで3次元的ネットワークの形成により得られます。私たちは、ナノ粒子をマルチ架橋体とする3次元ポリマーネットワークによる新しいゲル(web-gel)の開発を行っています。web-gelの特徴は、ナノ粒子と反応性ポリマーを混合するだけで作製できるため、ゲルの力学的性質や機能を自在に制御できるだけでなく、複数の機能をもつポリマー鎖を1つのゲルに導入できたり、磁気や光に応答するナノ粒子を利用することでゲルに機能を機能を付与することができます。

ナノシリカをマルチ架橋点とするハイドロゲル(web-gel).ポリマーネットワーク構造が均一であるため、80%圧縮しても破壊されない.

有機・無機複合体

有機材料と無機材料を複合化することで、新しい機能をもつ材料を開発することが可能になります。分子レベル、ナノレベル、マイクロレベルなどの複合化スケールは、機能や特性と密接に関係することから、これらを巧みに制御技術の開発は極めて重要です。例えば、異種材料から透明な複合体を作製する場合、特殊な場合を除き100 nm以下のスケールで複合化させる必要があるため、分散技術や界面活性技術の開発が必要となります。また、マイクロスケールでの複合化により意図的に相分離構造を形成させることが可能です。あえて相溶化を阻害することで、複数の機能を1つの複合体に付与することができるようになります。

マイクロサイズの相分離を利用した高効率熱伝導体の内部構造.

© April, 2019. Supramolecular Chemistry Group at KU