研究室紹介research
生物資源化学(山口研究室)(協力)
タンパク質や酵素は、アミノ酸の配列および長さによって様々な立体構造を取ることで機能性材料および触媒となり得る生体高分子です。タンパク質や酵素は、人工的に合成することができないため、タンパク質の設計図である遺伝子と細菌や酵母などの微生物を使って生合成することで得られます。またタンパク質や酵素は、化学の視点でそれらの機能を理解し、さらに利用することができるようになります。この研究分野は、食品、健康・医療などに関するバイオものづくりを推進させます。
DNA Normalizationを利用した遺伝子探索技術の開発
土壌や水中などの環境中には、微生物がもつ染色体(ゲノム)由来の様々なDNA断片が存在します(DNA pool)。しかし培養できる微生物は全体の1%くらいと言われており、DNA poolから新しい機能をもったタンパク質や酵素の設計図である遺伝子を獲得する技術が開発されています(メタゲノム)。
私たちは、メタゲノムから超微量に存在する希少遺伝子を獲得するために、優占的に存在する微生物由来の大量のDNA断片を化学的に除去し、希少遺伝子を含むDNA断片を増幅させるDNA Normalization手法を利用した遺伝子探索法の開発を行っています。
多種多様なプロテインライブラリーの作製
タンパク質は、アミノ酸の配列と長さによって立体構造を組み、低分子化合物やタンパク質と結合することができます。生物がもつ免疫システムで使われている抗体もタンパク質であり、抗体は体内に侵入した細菌やウィルスに含まれるタンパク質などに結合できる機能をもちます。
私たちは、様々な配列と長さを持つタンパク質の集団(プロテインライブラリ)を開発し、抗体のような低分子化合物やタンパク質に結合できるタンパク質、または触媒機能を持った酵素の探索を行います。
酵素の構造機能解析を通じた機能制御法の開発
酵素はタンパク質であり、タンパク質の中でも触媒反応を有するものをいいます。酵素反応は、緩和な反応条件で特異的な反応を有するため、生命活動だけでなく産業でも利用されています。酵素反応の機能制御は、健康・医療分野では創薬や臨床検査などで、食品分野では醸造や調味料製造、加工などで利用されています。
私たちは、酵素反応や酵素の立体構造を化学で評価し、酵素の機能発現機構の解析や機能制御法の開発を行っています。