研究室紹介research
高分子化学(檜垣研究室)
高分子の『理』を制御し、次世代の分子システムを創造する
高分子化学は、単にプラスチックなどの素材に関する学問ではありません。生命の本質を司る核酸やタンパク質もまた、高度に設計された「高分子量鎖状分子」であり、それらが自律的に織りなす「集合体形成」こそが、複雑な生命機能を支える根源的な分子機構です。私たちは、高分子の階層的な構造形成に潜む「理」を解き明かし、工学的に再構築することで、健康、安心安全、そしてサステナビリティという現代社会の難題に応える新たな分子システムの構築に挑んでいます。
水と水が「分離する」不思議:液-液相分離が拓く新しい分子システム
「水と油」が混ざり合わずに分離する現象は、誰もが知る身近な物理です。しかし、高分子の構造や相互作用を緻密にデザインすると、本来混ざり合うはずの「水溶液」と「水溶液」を分離させることが可能になります。生細胞も、この「液-液相分離」を巧みに利用して、膜のない液滴を分画場として作り出していることが分かってきました。私たちは、独自の「水溶性高分子」を創成することで、この生命のメカニズムを工学的に再現し、分子を分け、運び、必要な時に放出する、自然界の知恵に学んだ新しい分子システムの構築を目指しています。
研究室独自の液-液相分離液滴

ナノスケールの水路を創り出す:新たな高分子集合体「液-液ミクロ相分離」の研究
水を受け入れる性質(親水性)の異種高分子を繋ぎ合わせた「両親水性ブロック共重合体」の水溶液において、ナノメートル(100万分の1ミリ)スケールの格子構造が自発的に構築される興味深い現象を発見しました。この水系での微細な相分離現象の物理化学的な謎の解明と、これまでにない機能の創出に挑んでいます。高分子が織りなす「ナノ液相」の探究は、コロイド・界面科学の新しいフロンティアです。
両親水性ブロック共重合体濃厚水溶液で形成されるナノメートルスケール液-液相分離
